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2022年の受賞作品

2022年度は全国から12,131作品の応募がありました!
その中から19名が受賞し、団体賞は9つの学校が選ばれました。
※受賞者・受賞校・審査員の方々の情報は2023年3月時点のものになります。

小学校低学年の部

グランプリ

奥島 嗣遼さん (愛媛大学教育学部付属小学校 3年)

感想文題名: 「マンガで読みとき」
読んだマンガ:藤子・F・不二雄/『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』(小学館)


グランプリ

大石 亘己さん (東京都新宿区立愛日小学校 2年)

感想文題名: 「自てん車にのろう!」
読んだマンガ:渡辺 航/『弱虫ペダル』(秋田書店)


特別賞

三宅 陸斗さん (東京都新宿区立西戸山小学校 1年)

感想文題名: 「マッシュのつよさ。」
読んだマンガ:甲本 一/『マッシュル-MASHLE-』(集英社)


特別賞

奈良 芹香さん (聖ドミニコ学院小学校 3年)

感想文題名: 「まるちゃんと過ごすぐうたら夏休み」
読んだマンガ:さくらももこ/『ちびまる子ちゃん』(集英社)


特別賞

後藤 郁さん (東京都足立区立舎人第一小学校 2年)

感想文題名: 「仲直りのしかた」
読んだマンガ:臼井儀人/『クレヨンしんちゃん おおっ!オラのパワーは無限大だゾ編』(双葉社)


特別賞

渡辺 柊さん (宮城県仙台市立南吉成小学校 2年)

感想文題名: 「ぼくもまかいに行ってみたい」
読んだマンガ:西 修/『魔入りました!入間くん』(秋田書店)




小学校高学年の部

グランプリ

篠塚 瑛斗さん (東京都江戸川区立船堀小学校 6年)

感想文題名: 「しあわせ」
読んだマンガ:矢部太郎/『大家さんと僕』(新潮社)


特別賞

田中 萌果さん (熊本県熊本市立秋津小学校 6年)

感想文題名: 「育児は事件!?」
読んだマンガ:上地拓郎/『じじいくじ』(KADOKAWA)


特別賞

小林 丈士さん (東星学園小学校 5年)

感想文題名: 「「サザエさん」を読んで」
読んだマンガ:長谷川町子/『サザエさん』(朝日新聞出版)


特別賞

大出 瑞己さん (千葉県柏市立柏第六小学校 6年)

感想文題名: 「細胞の不思議、そしてすごさ!」
読んだマンガ:清水 茜/『はたらく細胞』(講談社)


特別賞

益田原 由芽さん (沖縄県うるま市立南原小学校 5年)

感想文題名: 「敵にとっての普通」
読んだマンガ:堀越耕平/『僕のヒーローアカデミア』(集英社)


特別賞

山本 未織さん (兵庫県神戸市立真陽小学校 5年)

感想文題名: 「夢に向かって努力」
読んだマンガ:ジョージ朝倉/『ダンス・ダンス・ダンスール』(小学館)




中学校の部

グランプリ

長谷 菜月さん (兵庫県尼崎市立武庫東中学校 3年)

感想文題名: 「友の背中を見て」
読んだマンガ:藤本タツキ/『ルックバック』(集英社)


特別賞

野添 晴仁さん (宮崎県川南町立国光原中学校 3年)

感想文題名: 「小さいこと」
読んだマンガ:古舘春一/『ハイキュー!!』(集英社)


特別賞

髙橋 仁美さん (東京都小平市立小平第一中学校 3年)

感想文題名: 「私は凡人」
読んだマンガ:山口つばさ/『ブルーピリオド』(講談社)


特別賞

平瀬 遥規さん (城北中学校 2年)

感想文題名: 「今まさに漂流中」
読んだマンガ:楳図かずお/『漂流教室』(小学館)


特別賞

加納 由璃子さん (東京都三鷹市立第四中学校 3年)

感想文題名: 「理想を守ること」
読んだマンガ:西 修/『魔入りました!入間くん』(秋田書店)




高等学校の部

グランプリ

瀬戸 望結さん (開智高等学校 1年)

感想文題名: 「誰もがかつて子供だった」
読んだマンガ:あずまきよひこ/『よつばと!』(KADOKAWA)


特別賞

高田 菜未さん (神奈川県立横須賀高等学校 1年)

感想文題名: 「十人十色」
読んだマンガ:吉村旋/『性別「モナリザ」の君へ。』(スクウェア・エニックス)




団体賞

長野県飯田市立伊賀良小学校 /
高知市立義務教育学校 土佐山学舎 /
群馬県甘楽郡甘楽町立福島小学校

市川学園市川中学校 /
上智福岡中学校 / 栃木県宇都宮市立国本中学校 /
広島叡智学園中学校

滝川学園高等学校 /
山口県立柳井商工高等学校


審査員

甲斐雄一郎

ストーリーを追いつつ冒険を楽しむのが映画、セリフの読み解きを通して人物の心情を追うことができるのがマンガという発見、それぞれに異なる好きな部分を見つけたことについて、もう一つの物語を見つけたみたいだという発見、これら二つの発見に奥島さんの作品の価値はあります。

町田守弘

『ドラえもん』はマンガだけでなく、映画でも楽しむことができます。この感想文はマンガと映画を比較して、それぞれの特色を明らかにした点が特に優れています。スネ夫のせりふから始まるところや、「もう一つの物語」の発見など、内容・表現ともによくまとまった文章になっています。

藤本由香里

作品の楽しさを素直に伝えているところに惹かれました。
作品に出てくる自転車のテクニックを真似してみたら、上り坂が楽になった。仲間の後ろを走ると疲れない。でも「おかあさんのうしろをはしったら、ぶつからないようにするのがむずかしかった」
このくだりが最高! です。

ブルボン小林

大石さんの感想文は書き出しがすごい。「小の田さかみちはめちゃくちゃはやい」スパッとして気持ちいい! 内容もいい。「おかあさんのうしろをはし」るなんて書くことで、マンガと大石さんの暮らしがむすびついていることがよく分かる。大石さん、すべてのマンガが、実は「勇気」のことを描いてます。これからもいろいろ読んで、しっかり楽しく暮らしていってください。

藤本由香里

まだ1年生なのに、「ぼくが考える強さ」が的確なことに感心しました。とくに三つめ。
「人をみためや、てき・みかたできめないで、しっかりと人をみることができることです。てきでも弱い人はたすけます」
ほんと、その通り! 大人でも、心に刻んでおきたい言葉です。

萩原綾乃

まるでちびまる子ちゃんの秀逸な1話を読むような感想文でした。
夏休みの宿題ををラストのラストまでやっている様子も、感想文のラストの行まですべてが面白くて吹き出しました! まさに貴方こそがちびまる子ちゃん!

ブルボン小林

後藤さんは、マンガにはお決まりのパターンがあることを分かっている。そして、たまにパターンが外れることの面白さがあって、それも味わうことができている。マンガ読みの上級者です。また、これは感想文だけど、読んでいない人に、ちゃんと醍醐味が分かるように紹介できています。最後の発見も、決めつけないで想像にとどめているところに、後藤さんの品の良さを感じました。

中野博之

とても豊かな感受性を持った作者だなと思いました。しんちゃんと風間くん『二人のケンカの中に「ごめんね」がかくれている』という文章が素晴らしかったです。マンガは(現実もかもですが)、書かれているセリフが表現の全てではありません。流れや動作、表情で2人の関係性の機微をしっかり読み取ってくれているのが頼もしいと感じました。

藤本由香里

素直に、作品の真っ芯をとらえた感想だと思いました。
たとえば、「はじめは、まわりに気づかれないか心ぱいでドキドキしていました」。
そして「ぼくのクラスにあくまがいて、その子となかよしだったら、まわりにひみつにしてまもってあげて、いつか二人でまかいにあそびにいってみたいと思います」
ステキなラストでした!

ブルボン小林

篠塚さんはシーンの紹介の仕方がとても巧みでした。しあわせの在り様を「季節」「平和」「誰かと生きること」と分類し、多面的な良さを簡潔に示すことができてます。感想文とはだいたい「感動した」ことを書くのだけど、感動を押しつけがましくなく手渡すのには技巧も必要です。もちろん、技だけでない、篠塚さんの優しさも感じ取れました(作品の優しさにも似ています)。

中野博之

非常に文章が上手くて驚きました。読んでいて気持ちが良いリズムの文体で、マンガの素直な感想が語られていて、伝わってくるものが多かったです。また、作中の風景のシーンについての言葉が多かったのも良かったです。セリフがない・人物がいないコマもマンガでは大切な部分で、そこまでじっくり読んでくれているのが伝わってきました。

藤本由香里

「絶対自分では選ばない本」という書き出しがいいです。老刑事の育児を描いた作品から、自分が赤ちゃんだった時もこんなにたいへんだったの?とお母さんに聞くとか、亡くなったおじいちゃんを思い出して、老刑事の子育てがしだいに祖父と自分に見えてくるとか、作品がしっかり自分の中に根付いていく過程が見えてよかったです。

町田守弘

表紙の絵のリアルな描写から育児の苦労を読み取ることを起点として、マンガと自身の体験を見事に重ね合わせて具体的にまとめています。マンガに登場する人物から、他界したお祖父さんのことを想像する記述が印象に残りました。しっかりした構成で、効果的にまとめられた感想文です。

ブルボン小林

小林さんはアニメとマンガのメディアの違いに注目したことがまず偉い。個々の4コマの内容ではなく、マンガそのものの意義を、小林さんなりに想像してみているのもいい。大きくなって新聞や戦争や、昭和の歴史をもっと深く知ってから、この感想文を読み返してみてほしい。想像通りのことも少し違うこともあるだろうけど、今、想像してみたということに大きな価値があります。

萩原綾乃

細胞の知識もマンガに対する萌えも、そして今の社会情勢さえもすべてを1つのマンガ作品から学びとってくれるすばらしい吸収力!
私ももう一度、『はたらく細胞』を読み返したくなりました。

藤本由香里

「敵にとっての普通」というタイトルが、この感想文のテーマをくっきりと言い表しています。
たとえ血に興味があるという「個性」が他の人には気味悪く見えようとも、それはその人にとっては「普通」。それを差別するのも、「かわいそう」だと思うのも違う。とくに「かわいそうだと思うのはすごく失礼」という言葉は、大人にも強く言いたいです。

甲斐雄一郎

「指先からつま先までの神経がいきとどいている」というような、人物の動きの描写への着目がマンガ読書ならではの特徴を浮き彫りにしています。そしてそこから受け取った感動を、たたみかけるような文体で表すことによって、この作品に寄せる山本さんの感動が力強く伝わってきます。

藤本由香里

唯一、「この作品は、背中のみで語られるシーンが多い」と漫画表現の特徴に注目した感想文でした。それが原作、そしてこの感想文自身のタイトルとも重なっています。
主人公と同じくマンガ家志望だけれど半ばあきらめている筆者は、具体的に夢を語る友に刺激され、葛藤します。友の背中を見ながら、でも、「二人は…互いの背中に支えられ続けていくのだな」。これは作品のことでもあり、友との未来でもあるでしょう。見事です。

町田守弘

マンガの内容をよく理解したうえで、特に「背中」に着目して重要な場面を取り上げたことで、優れた感想文になりました。自身の「夢」の具体例に即して、友人との関係が適切に描かれて効果的です。全体的に構成がしっかりと整っていて、内容・表現ともによく工夫された文章です。

萩原綾乃

きっと古舘春一先生も『ハイキュー!!』はこうやって読んでほしかったと思います。作家さんも編集者も大喜びする直球ストレートのすばらしい感想文です。このようなものの見方が出来るので野添さんは強くなること間違いなし!

町田守弘

主人公の状況が具体的に紹介され、マンガの内容面だけではなく、表現面の特徴も視野に収められています。「あなた」という二人称を用いた問いかけは効果的です。表現上の様々な工夫や、「眉目秀麗」「天真爛漫」「新感覚」などの使用された語彙の豊かさも、感想文の質を支えています。

ブルボン小林

髙橋さんの文章の、生真面目なところに好感を持ちました。このマンガ感想文の応募作は作中の「台詞」に感動するものがとても多い中、ここでは人物の「表情」に感じ入っているところもよかったです(漫画なのだから、文字だけでなく描かれていることにも感想をもつはずだ)。清々しさとドロドロの両面を見据える姿勢はほかの読書にもきっと有効だと思います。

中野博之

キャッチーな言葉から始まる導入部分が上手く「一体どういうこと?」と心を掴まされました。また、漂流教室を現在のコロナ禍に例えていく内容は、今の中学生が感じていること・苦しんでいることがリアルに体感でき、私たちにも気づきが多かったです。「心の中は何か砂漠をかかえているかのようである」という一文に強い時代性も感じました。

甲斐雄一郎

マンガとのよい出会いを通して「自分と向き合う手段でもある」という加納さんの発見は、マンガを読む意味の一面を再確認させてくれました。それは人物像の理解をふまえたさまざまな状況への対処の仕方、そしてその際の表情などへの着目によってもたらされたものでした。

ブルボン小林

加納さんは、一つのマンガを通じて、あらかじめ抱いていたマンガ全般への印象と、その変化をみつめています。「今でも少し思っている」と正直な吐露を挟んだり、その視線は誠実。「私は何か理想があるのだろう」という俯瞰的な観察もいい。次のマンガがまたさらなる発見を加納さんにもたらしてくれるんじゃないかと思います。

甲斐雄一郎

初体験を前にした緊張、失敗を経た成長、その子を見守る周囲の人々のまなざし、それらがもたらす感動に国境をこえた普遍性を見出している点にマンガの可能性を感じさせられます。さらに現実世界での登場人物の行動を推測してみることもマンガ読書の楽しみに新たな光をあてています。

中野博之

まず、マンガの「ストーリー」よりも「キャラクター」に重きを置いた内容にオリジナリティを感じました。そして「世界中に読者がいる」という視点も良かったです。キャラクターと世界展開、これはマンガというジャンルが持つ大きな特長の2つだと思います。小説を読んでではない、「マンガ」感想文ならではの作品として大変素晴らしかったです。

藤本由香里

「性別」や性的マイノリティに、近年注目が集まっている。筆者は、自分の体験や、作中で描かれたエピソードなどから、「性別」のあり方を考えていく。
筆者自身による<単に「女性」と分類していても全く同じ性自認の人はいない>という指摘は、専門家でもこの認識に至るのは難しい鋭い指摘だ。少なくとも私は、目を開かされた気がした。

最終審査員(敬称略)
  • 甲斐雄一郎
  • (文教大学教授)

  • 藤本由香里
  • (明治大学教授)

  • 町田守弘
  • (早稲田大学名誉教授)

  • ブルボン小林
  • (コラムニスト)

  • 中野博之
  • (集英社 週刊少年ジャンプ編集長)

  • 萩原綾乃
  • (小学館 ちゃお編集長)


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